恋口の切りかた

残った男たちは二人。

さすがに焦った様子を見せる彼らに、

「誰の命だ?」


槍を突きつけ、くぐもった声が冷たく尋ねる。


男たちが目配せを交わし合った。


一人が懐に手を入れ、もう一人が──じりじりと後ずさった。

──逃げる気だ。


「おつるぎ様!」


青文が直ちに動きを読みとって、逃げようとする男のほうに覆面の頭を動かし鋭く言った。


私は頷いて、きびすを返しかける男との間合いをすぐさま詰め、逃げる男のふくらはぎを狙って斬りつけた。

悲鳴を漏らして男が倒れ──


後ろでぱん、という乾いた破裂音がした。


弾かれたように振り返ると、小型の鉄砲を手にした男の肩を青文の槍が貫き、近くの塀に縫い止めたところだった。


「さて、誰に命じられて私を狙ったか聞こうか」


飛び道具相手にもまったく後れを取らず、動きを封じた相手に淡々と尋ねた男を見て、

私は改めて驚嘆の思いを抱いた。


この人、滅茶苦茶強いよ──!