恋口の切りかた

この覆面家老が、この国にとって大切な人物であることは私も理解している。

「お守り致します!」

家老の前に立って男たちを睨み据えながら私は言い放って──


「では悪いが、少々時間を稼いでいただきたい」

刀を納めて、風呂敷の中から三本の棒のようなものを取り出しつつ、青文はそんな言葉を放ってきた。

よくわからなかったが──


再び二人の男が動き、斬りかかってくる。

男たちは首もとまで襟巻きのようなもので覆っている。

ひょっとしたら鎖帷子か何か──首にも防護するようなものを仕込んでいるのかもしれなかった。


私は兵五郎の店での斬り合いを思い出して、


最初にかかってきた男と斬り結ぶ瞬間、構えを突きに変えて深く目を貫いた。


けたたましい悲鳴を上げて男が倒れ伏し、ばたばたと手足を動かす。


それを見てわずかに動きを止めたもう一人に、正面から一気に間合いを詰め──

その脳天に大上段から渾身の力を込めて刀を打ち下ろした。


受け止めようと動かした刀を弾いて、女の私の力でも男の眉間までめり込んで刀が止まる。


夜の闇の中、真っ黒な血しぶきが上がる。

すぐさま刀を引き抜き──しかし、どうしても挙動が遅れた。


今度は仲間の死に様にも構わず、真っ直ぐ私を狙ってきた三人目と四人目が両側から刀を振り下ろす。


が、


その刃は私まで届かなかった。


私の頭上を掠めて通り過ぎていった槍の一振りが、男たちを薙ぎ倒した。