恋口の切りかた

やがて、二人が体を離すのを見て取って、


俺は再び、二人のもとに戻った。

後ろから留玖が慌ててくっついて来る。


「話は終わったか?」

「ああ、終わった」

俺の問いに遊水が答えて、


俺は、まだ何か言いたそうにしている亜鳥を眺めた。

「俺はこの場を仕切らなきゃならねえ。遊水、彼女を屋敷まで送ってやってくれ」

気を遣って、俺はそんな提案をしてみたのだが、

「いや」

遊水は軽く笑って、それを断った。

「おつるぎ様、お願いしますよ」

留玖が不安そうに亜鳥の様子を窺った。

「いいんですか」

怖ず怖ずと尋ねた彼女に遊水が首肯する。

留玖はそれでもまだ、亜鳥の顔色を気にしていたがやがて彼女を促してその場を後にしようとした。



「じゃあな、亜鳥」


遊水が、俺たちの前で初めて彼女の本当の名を口にしてそう言った。


「遊水」


思い詰めた顔で、亜鳥が彼の名を呼んだ。


「最後に……最後に、幸せになれとは言ってくれないのか? 私はあなたのその言葉があれば、きっと……」


「幸せにはなれねえよ」


金髪の棒手振は、彼女の言葉を遮って断言した。

亜鳥が凍りつく。

彼の白い顔は、泣き笑いのように歪んでいた。



「亜鳥は仇のもとに嫁ぐんだから」