恋口の切りかた

「さすが、素手で免許皆伝の達人とやり合えるだけあるな」

しかしそれでも、過去に遊水の腕のほどを聞いていた俺には特に驚きはなかった。

惜しむらくは、今回もまた、俺が駆けつけた時にはことが終わっていて、その腕前を実際に目にすることができなかったということだが。

「これがあんたの本来の腕か?」

俺が、やはり一度手合わせしたいと思いながら尋ねると、

「まさか」と遊水は肩をすくめて、

「鬼之介の奴が作ったこんな武器でなければ、もう少しマシに戦えるぜ」

そんなことを言って天秤棒を振って見せた。

「まあ、そりゃそうか」

あの焼死事件以来、遊水は身を守れる武器を作ってくれと金を払って鬼之介に依頼したりしていて、

鬼之介は大喜びで、この男に適した改造武器をいくつか作って手渡したりしていたようだが……


遊水が手にした改造天秤棒もそのうちの一つで、見た目はただの竹の棒だが先端に金属の補強が仕込まれている。


普通の天秤棒よりはマシとは言え、本来この男が得意とする獲物とは当然使い勝手が違うだろう。


つまり……彼の本来の実力はまだまだ上ということらしい。


やっぱり一度、勝負しておきてえな。

俺は胸の中でそう繰り返して──

それから、

転がった者たちが皆、ぴくりとも動いていないことに気づいた。