恋口の切りかた


 【円】

留玖と隼人を伴って、現場のススキ野に駆けつけた時、
夕暮れのススキ野には、刀を抜いた浪人風の男たちと亜鳥、

そして


亜鳥を庇うように、棒手振の天秤棒を構えて男たちと対峙する遊水の姿があった。


「え……? 遊水さんも一緒だったの?」

留玖が一瞬驚いた様子を見せ、隼人がやや不審そうに眉を寄せて、

「全員動くな! 盗賊改めだ!」

刀を抜いてその場に走り込みながら、まさかこんな形で初仕事をすることになるとはと俺は小さく苦笑した。

十余人いる浪人たちの半分は既に遊水にやられたのかその場に倒れ伏しており、残った浪人を俺と留玖の二人で取り押さえるのは簡単だった。

この頃には留玖の捕縄術は、宗助が驚くほどの上達を見せていて、
縄抜けではなく早縄ではあるが、さっそくこの場で浪人を捕まえるのに役立った。

「どうして、ここに……?」

とりあえず浪人たちをお縄にして、亜鳥と遊水のもとに歩み寄ると、亜鳥は不思議そうに尋ねてきた。

「俺が円士郎様のところに報せをやったのさ」

と、遊水が言い、留玖が「さっきの報せは遊水さんからだったの?」と俺に尋ねて──

「間に合って良かったぜ」

俺は曖昧に笑って、亜鳥のほうを見た。

怪我が治りたての隼人には、捕り物には参加させず、遊水たちのほうを頼んでいたのだが、

「必要なかったかもしれませんけど」

と、彼は
どうやら遊水が仕留めたらしい、倒れた六人の浪人を見下ろして苦笑した。



(※作者からのお詫び※

このたび今後の展開にやや変更があり、五章一節のタイトルを

「円士郎暗殺」→「正体」

へと変更致しました。以下、既に公開している節タイトルもずれております。
変更に伴いまして、ページ間で文章移動を行っておりますが、文章の内容には変更はございません。
ページ数が変わり、読んでいる途中で混乱されてしまった方、申し訳ございませんでした)