恋口の切りかた

私が尋ねると、円士郎は険しい目つきになった。

ぱたぱたと、しばらく無言で扇子を動かした後、

「もともとな、今回の彼女の縁談は中老の泉家との間でまとまってたんだ」


円士郎は私が知らなかった話をした。

「お相手の泉進之丞はいい年のオッサンだから、俺もどうかとは思ったけど……彼女も二十一だ。
贅沢は言ってられねーってことだったのかもな」

そんな……。

それも、嫌な縁談に思えた。

確かに、お嫁に行く年は私や風佳くらいの年齢が普通だったから、鳥英──亜鳥の年齢は完全に年増ということになる。

でも、あんなに綺麗な人なのに──

「そうなってくると、伊羽家としては面倒なことになる。
どういうことかわかるか?」

間近で、不意打ちで円士郎に切れ長の目で見つめられて、私は心の準備が何もできていなくてドキドキしてしまった。

「えっと……わかんない……よ……」

と言うか、考える余裕がない。

思わず視線が泳いでしまった。


円士郎は少し不思議そうな顔をしてから、

「親父と青文にあの夜ハメられて、雨宮家は没落した。
だが、中老家と縁組みをするなら、再び勢いを取り戻す可能性がある」

幸い、明かにおかしかった私の様子もあまり気にせずに、そんな風に彼は説明を続けた。

「親父とグルだったことまでは知らないだろうが、伊羽家に対してはたっぷり恨みを抱えてる。そのまま雨宮家が再興してみろ。再び対立関係になっちまうだろ」