恋口の切りかた

「え、エンは確かに乱暴だし、ワガママだし、好き勝手なことやってるし……」

「そうでしょう、そうでしょう」

「でも、だけど……優しいところだってあるんだよ?
いざってときに頼りになるし、太陽みたいにあったかくって、私はいつも救われてきたし……」


あれ? なんだか楽しい……。

円士郎のことをこうやって誰かに話すのは初めてで、ほっぺたは相変わらず大火事状態だったけれど、

彼の話をしているだけで、どうしてなのか幸せな気持ちになることができた。


「ふうん」

おひさはニンマリして、

「本当に円士郎様のことが好きなんですねえ」

と言った。

「まあ、町では若い娘の間で人気があることは知っていますし、私も役者並みのお顔は格好良いと思いますけれどねえ」

「……えっと……そ、そうなのかな?」

「あれえ? おつるぎ様は、円士郎様のお顔はあまりお好きではないんですか?」

「えーっと……」

顔は──


小さい頃から見慣れてて、よくわかんない……。


というのが本音なのだけれど、でも、


「す……好きだよ、顔も、声も、全部……」


ふわふわした布に包まれているような気分で私は言った。


たぶん、円士郎の全部が……


……好きなんだろうなあ、と思う。