恋口の切りかた

お前はいらねーんだろ、これ。

円士郎はあのとき、そう言った。


彼がかんざしを誰にあげても、それは私が口出しできるようなことではなかった。

円士郎の行動を私がどうこうできないのなんて当然のことだ。

でも、どうしようもないと頭ではわかってはいても──


好きな人がとった、たった一つの行動で

こんなに胸が締めつけられて

こんなに苦しい思いをするなんて……



ああ、好きだって自覚するのはつらいな。



私は唇を噛んだ。



エンを好きだって気づいてしまったから、もう、逃げられないんだな。


そう思った。