恋口の切りかた

頭を殴られたような衝撃が走った。


だって、それを買ったのは
あのときそれを買ってたのは、

円士郎だ。


私はもらえなかったのに──


かんざしを受け取って、こうして髪に挿している女の子が羨ましくてたまらなくて


「お、おつるぎ様!?」

女中が仰天した声を上げた。

気がついたら、視界が水の中にいるみたいにぼやけて、こぼれた水がほっぺたを流れ落ちてしまっていた。


「それ、そのかんざし、私、誰が買ったものか知ってる……!」

「えっ……」


滲む視界の中で、女の子が口元を押さえた。


「なんで……っ」


おろおろする女中の前で、
私は我慢できずにうずくまって、膝を抱えて泣き出した。


どうして、エン……?


私だって、欲しかったのに──

かんざしが欲しかったんじゃなくて

円士郎からもらいたかった。


なのに──