恋口の切りかた

どうして、この人が──


私の目の前で、はっとしたように頭に手をやってかんざしを押さえるその女中は、
遠目に見た時よりもずいぶん若いことがわかった。

まだ娘という感じで、
くりくりした目が可愛くて、

年の頃なら私や円士郎とそんなに変わらないように見えた。


「申し訳ありません! このような贅沢な品を身につけるなど……身分をわきまえない真似でした」

私の口調には否応なしに咎めるような響きが滲んでしまっていて、
勘違いしたらしい女の子は頭を下げた。

「どうかお許し下さい! 人からいただいた大切なものなのです」

取り上げられるとでも思ったのか、女の子が口にしたその言葉を聞いて

「べ、別に、つけててもいいよ。いいけど……」

私は慌ててそう伝えて、女の子の表情に安堵した色が浮かんだ。

それを眺めながら、


人からもらった大切なもの──


耳の中では女の子が口にした言葉が何度もこだまして、

ズキンと、私の胸は痛んだ。

「誰からもらったの?」

尋ねる声が震えた。

「それは──」

女の子は顔を赤くして言い淀んだ。

「その方にご迷惑がかかるので、申せませんが……お慕い申し上げている方からいただいたものです」

とても嬉しそうに、
幸せそうに、
女の子はそう告白した。