恋口の切りかた

そりゃ、遊水はただの町人で──


違った。


あの人ただの町人じゃなくて、裏でヤクザと繋がってて、しかも昔は盗賊の犯罪者なんだった……。


──どっちにしても、鳥英が武家の人間なら、彼とは身分が違うのかもしれないけれど……


「好きな人のことを忘れて、別の人のところにお嫁に行くなんて、できるのかな……」


私はもう一度、暗い天井に向かって息を吐き出して、

せめて隼人たちには幸せになってほしいなと思った。


「できませぬっ」

「へ?」

唐突にキッパリした声が降ってきて、顔を向けると
霊子は着物の袖をぎりぎりと噛みしめながら、

「鬼之介新三郎三太九郎太郎五郎衛門之進様以外の方と一緒になれなどと言われたら、拙者ならば相手を抹殺してでも鬼之介新三郎三太九郎太郎五郎衛門之進様のもとに参りますっ」

「…………そ、そうなんだ……」


抹殺って……霊子さん。



私は、あんまり参考にならない人に質問したかもしれないなと、


この時はそう思った。