恋口の切りかた

畳の上に、縄で縛られた留玖が転がっていて、くねくねと藻掻くように動いていて、


宗助が腕組みをしてそれを見下ろしていた。


「やあん、何で開けるのぉ」


後ろ手に縛られたまま泣き声を出す留玖は何だか色っぽくて、


「お……おま……これ、なにを……」


俺は頭の中が思考停止状態になるのを感じつつ、辛うじて口を動かした。


「捕縄術の鍛錬だ」

うろたえまくる俺に向かって、宗助はニコリともしない冷静な顔で告げた。

「おつるぎ様が縄抜けを修得したいと仰って、お教えしているところだが……」


縄抜けの練習?


俺は真っ白なままの頭で、むいむい動いている留玖を見下ろした。


確かに、言われてみれば納得の光景だが──


「これ、お前ら昼間からずっとやってたのか?」

「そうだ」

「…………」


留玖は汗だくで荒い息をしながら、紅潮した顔で縄から逃れようと必死に身をよじっていて、

なんつうか、この様子を見つめていると──


「宗助、お前よく二人きりでこんな真似してて変な気分にならなかったな……」


冷徹に留玖の動きを観察している男に対して、俺は改めて、

忍って凄ェ! と驚嘆の思いを抱いた。


「は?」

と、宗助が怪訝な顔をして、

「やあん、何言ってるの、エンのばかっ」

留玖が縛られたまま可愛い声で言った。