恋口の切りかた

屋敷に戻ると、留玖の姿が見当たらず、

隼人と加那の相思相愛っぷりを見せつけられて帰ってきた俺は、特に用もなかったが、留玖の顔が無性に見たくて、

冬馬を捕まえて留玖はどこだと訊いた。


すると、冬馬は変な顔をして、


「それが──姉上は昼間から宗助と二人きりでずっとお部屋にこもって、人を遠ざけて、何をされているのか……」


そう言って首を捻った。


「時々、部屋の中からは妙な声が聞こえてきますし……」


え……!?

二人っきりで部屋にこもってて、妙な声が聞こえてくる!?


俺は春雨のようなサアア、という音を立てて、頭から血の気が引くのを感じた。


るるるる留玖──!?


俺は血相を変えて留玖の部屋に飛んでいって、


「おい! 留玖!」


部屋の外から声をかけたら、


「え、エン!? やだ、今入ってきちゃ駄目ぇ!」


中からは慌てふためいたそんな声が返ってきて──


「宗助と何やってんだッ!?」


俺は恐慌状態に陥って部屋の襖を勢いよく開け放った。


そうして──


「な──何やってンだ!?」


そこに広がっていた光景に、俺はボーゼンと繰り返して立ちすくんだ。