恋口の切りかた

結局、役宅をどうするかはこの日はうやむやになって、

俺は二人に、祝言には呼べよと言い残して、


俺と神崎帯刀は、夕日に照らされた武家屋敷の間を歩いて引き上げた。


「ヘラヘラしているだけの気に食わん男かと思っていたが──」


別れ際に、帯刀は神妙な面持ちのままで呟いた。


「奴も、武士だったか……」


「なんだ、今さらじゃねーか」


ふふん、と俺は笑った。


「当然だろうが。俺が見込んだ奴だぜ」


そう言ってやると、不遜な態度にでも見えたのか、帯刀は顔をしかめて

俺はけたけたと笑って、
新たな俺の下役と別れ、結城家の屋敷へと向かった。