恋口の切りかた

「都築様を仕留めた橋の上での、円士郎様との見事な連携の動きがあったかと思えば……どうもおつるぎ様は得手不得手がはっきりしていますね」

宗助は相変わらずボソボソとした声で、容赦なくそんなことを言って、

「虹庵様の許可があるのでしたら、捕縄術についてはお教え致しますが……」

と、少しだけ柔らかい声音になって言った。

「教えてくれるの……?」

「またこのような事態になった時のために備えたほうが良いというお考えには、俺も同感ですので」

宗助は相変わらず無表情だったけれど、

これは落ち込んでいる私に彼なりに優しい言葉をかけてくれたということなのかな……?


「お尋ね致しますが、おつるぎ様はこれまで手足の間接を脱臼なさったことはありますか?」

宗助に訊かれて、私はこれまでの稽古や円士郎との勝負を振り返った。

「えっと、何度かあるけど……」

「では、ご自分の意志で間接を動かすことはできますか?」

「え?」

「意図的に間接を外して、それから元通りに、はめたりは?」

さすがにそんな真似は──

「やったことないです……」

「そうですか」と宗助は私の体を眺めて、少し考えこむようにした。