冬馬の胸には、幼い頃の火傷の痕がある。
子供の握り拳ほどの大きさのもので、
どういった事故によるものなのかは俺の記憶には何故かなく、話に聞いただけだが──
「やめろ!」
俺は慌てて冬馬と与一の間に割り込んで、与一の手をつかんで冬馬の着物から離した。
冬馬が乱れた衣を急いで直し、火傷の痕を隠した。
「これは、子供の頃の事故だ。
母上の不注意とかで──本人も母上も気にしてるんだよ!」
俺は尼僧を睨んだ。
青い顔をした冬馬に、与一はじっと黄色と黒の双眸で視線を送っていたが、
やがて「ご無礼を致しました」と詫びて、
「いえ、この私めの霊眼が、そこから並々ならぬ怨念を感じたものですから」
などと、黄色い義眼を冬馬に向けてワケのわからんことを言った。
「怨念だ!? てめえ、何言ってやがる?」
食ってかかる俺を無視して、尼僧は白い指を冬馬の左胸に突きつけ、
「深い憎悪、悲劇、惨劇の記憶が見えますわえ。
用心なさいませ。近い内にあなた様の前に、そこから漂う怨念に引き寄せられ、邪念を持った者が現れるやもしれませぬ」
不気味な予言めいたことを口にした。
「いい加減にしろ!」
俺は硬直している冬馬の前から、エセ祈祷師を引きずり離して──
「貴様、何者だ?」
そう言って冬馬が、
酷く狼狽したような、
愕然としたような顔で与一を見たので、眉をひそめた。
何だ……?
子供の握り拳ほどの大きさのもので、
どういった事故によるものなのかは俺の記憶には何故かなく、話に聞いただけだが──
「やめろ!」
俺は慌てて冬馬と与一の間に割り込んで、与一の手をつかんで冬馬の着物から離した。
冬馬が乱れた衣を急いで直し、火傷の痕を隠した。
「これは、子供の頃の事故だ。
母上の不注意とかで──本人も母上も気にしてるんだよ!」
俺は尼僧を睨んだ。
青い顔をした冬馬に、与一はじっと黄色と黒の双眸で視線を送っていたが、
やがて「ご無礼を致しました」と詫びて、
「いえ、この私めの霊眼が、そこから並々ならぬ怨念を感じたものですから」
などと、黄色い義眼を冬馬に向けてワケのわからんことを言った。
「怨念だ!? てめえ、何言ってやがる?」
食ってかかる俺を無視して、尼僧は白い指を冬馬の左胸に突きつけ、
「深い憎悪、悲劇、惨劇の記憶が見えますわえ。
用心なさいませ。近い内にあなた様の前に、そこから漂う怨念に引き寄せられ、邪念を持った者が現れるやもしれませぬ」
不気味な予言めいたことを口にした。
「いい加減にしろ!」
俺は硬直している冬馬の前から、エセ祈祷師を引きずり離して──
「貴様、何者だ?」
そう言って冬馬が、
酷く狼狽したような、
愕然としたような顔で与一を見たので、眉をひそめた。
何だ……?



