恋口の切りかた

霧夜とも顔を合わせているとなると──私は見たことがないけれど──本当に、
白輝血にさらわれたまま、姿を消して行方知れずになったお玉という人と同一人物のようだった。

「てめえ、何が目的だ!?」

円士郎が表情を険しくした。

霊子は焦った様子で、

「いやっ……あ、ああれは……目的というか、事故でござる。
あ、あの長屋に出入りしていたら、何故かうっかり渡世人に捕まってしまっただけで……」

などと、どもりながら言った。


くノ一って、何故かうっかり渡世人に捕まったりするものなのかな……。

この人、こんな有様で……里にいるときはどうやって隠密の仕事なんてしていたのだろう。


「だから、どうして鬼之介の長屋に出入りしてやがったんだ!? 鬼之介の世話までして……目的は何だ!?」

「えっ……えっと……それは……」

円士郎に見据えられた霊子は、両手の指を顔の前でいじいじと動かしながら、私たちを見回した。

何だろう……?

心なしか、白い顔が赤くなっているように見える。

「言わないと……ダメでござるかな?」

急にもじもじし始めた霊子を見下ろして、円士郎が眉を寄せた。

「あァ? 何隠してやがるんだ!? 言え!」

円士郎の剣幕に、霊子はびくうっと肩を震わせて、

それから何やら赤い顔でうつむいた。