恋口の切りかた

お玉さん……?

「お玉さんって、私と一緒に白輝血に誘拐されたっていう?」

「ああ」

驚く私に、円士郎は頷いた。

「俺は鬼之介の部屋で一度、訪ねてきた『お玉』って女に会ってるんだが……間違いねえ。こいつだ」

与一も霊子の顔を見つめたまま、

「ふふ、確かにくノ一ならば男慣れしているのも、渡世人を殺して自力で監禁場所から逃げ出せたのも納得だねえ」

と言った。

霊子はしげしげと、白い尼僧の顔を眺めて、

「ええと、どなたでござろうか?」

首を傾げた。

「ちょいと! この子、隠密なのに変装一つ見破れないのかえ?」

与一が、ガクッと拍子抜けした様子で宗助に言った。

「霊子、里にいる時に同一人物の見分け方は教えたはずだ」

宗助もどこかうんざりしたような声の調子になった。

「へ……? ええと……」

言われて、くノ一は再び目の前の与一の顔を観察して、

「……あああ!? まさかおぬし、あの時の暗夜霧夜とか言う凶悪そうな渡せ……むぐもがっ」

見る見る顔色を変えて叫びかけたところで、ニコニコと満面の笑みを浮かべた尼僧に手で口をふさがれた。


この尼僧の正体を知らない冬馬が、不思議そうに首を傾げた。