恋口の切りかた

「どれだけ人騒がせなくノ一なんだよ……!」


円士郎が頭を押さえて、


「それで? てめえ、鬼之介の長屋の大家の娘になりすましてやがったのは、何のつもりだ?」


と、言った。


「えっ……?」

びっくりする私の前で、尼僧に化けた与一も整った唇を吊り上げてニィッと笑い、


「まさか隠密の女だったとはねえ。またお会いしましたねえ、『お玉さん』」


と、霊子に顔を近づけて囁いた。