恋口の切りかた

……いやいやいや。

「いやいやいやいや」

俺はぱたぱたと手を振った。

「いくらなんでも有り得ねーだろ、それは」

あまりに非現実的なその話に、俺は引きつった笑いを浮かべてそう言ったのだが、


「いや、有り得る」


宗助は何故か神妙な面持ちで言った。


「はァ!? オイオイ、お前まで何言ってんだ」

「霊子ならやりかねん」

「…………」


マジかよっ!?

自分の里を誤って爆破して滅ぼすなんて──どういうくノ一だそれ。


「こ……このことが生き残った他の方々に知れれば、拙者はきっと抹殺されましょう」

「それは抹殺されるだろうな」


ややぼう然とした口調で宗助が同意した。

ううう、と霊子は声を上げてすすり泣き、


「どうか兄さま、ご内密に……! このとおりでござりまするぅ」


畳の上で土下座する女を一同は言葉もなく眺めた。