恋口の切りかた

「へへー、今日はおれの勝ち」

いつものように

彼は無邪気な笑みを見せて、


俺は頭が真っ白になる。


半月ぶりに聞いた、刀丸のセリフが
まるで何年かぶりに聞いたかのように
もの凄くなつかしく、悲しく感じられて──


「あれ? レンちゃん泣いてる?」


刀丸が俺を心配そうにのぞきこんだ。

「大丈夫? レンちゃん後ろに跳んでたのに、そんなに強く当たったかな」

「……ばかやろ──これは背中打って、むせすぎて涙が……」


思いきりせきこんでごまかす俺。