恋口の切りかた

「待て待て! 留玖! オチツケ、誤解だ、俺は何も疚しいことは──」

我ながら上擦った声で言い訳をして、

「な……何言ってるんだよう?」

ベソをかきながら留玖が首を傾げたので、「へ?」と俺は間抜けな声を出した。


よく見ると留玖は、顔面蒼白になってがくがくと震えていた。


「そんなことより、エン……出た! 出たの! 出ちゃったの!」


出た……?

俺と尼僧姿の与一は顔を見合わせる。


「って何がだ?」

首を捻った俺に、留玖はこの世の終わりだと言わんばかりの金切り声で、


「お化け!」


と叫んだ。


「幽霊だよ! 女の人の……女の人の幽霊が……出たぁ!!」


そんな風に悲鳴を上げて、留玖はその場にしゃがみ込んでわあわあ泣き始めた。