恋口の切りかた

「確か見返りとして闇鴉の連中は、白輝血にはこの城下に潜り込む手伝いをさせる気だったとか言ってやがったな」

盗賊が城下に潜り込もうとしていたというのは、何とも気分の良くない話だった。

うっすらと赤い色を差した切れ長の目元を鋭くして、与一は頷き、

「円士郎様は、連中が何のために城下に潜り込もうとしていたのだと思いますかえ？」

と、尋ねてきた。

「何のためって……」

盗賊が町に潜り込む目的と言えば一つである。

「そりゃ、この町で盗みを働くためだろ？」

真っ白な尼僧の顔は、ぞくりとするような笑みを口元に浮かべて、いいえ、仕事のためじゃありませんと首を横に振り、

「闇鴉の狙いは一つ」

ひたりと、色の異なる双眸で俺を見据えた。



「この結城家ですよ、若様」