恋口の切りかた

すっ飛ばされて盛大に床を転がり、

道場の壁に背中を打ちつけて

俺は思い切りせきこんだ。


「兄上!」と門下生に混じって観戦していた平司の声が響いて、


「それまで」


虹庵の声が聞こえた。


おお! というどよめきが道場に起こった。


くそ~!
刀丸のやつ、まさに思ったとおりに
腹をねらってきたな。

ん? 待てよ。
これを利用すればわざと腹に剣を導かせる、とかできるんじゃねーか?


げほげほむせ返りながら、そんなことを考えていると

「今のはね、盗賊を斬った時に開発した技なんだ」

刀丸がこちらに歩み寄りながらそう言った。
普段と変わらない口調で、得意そうに。