「何の真似だ!! てめえに祈祷ができる霊力なんざあったのかよ!」
「あら、嫌ですよそんな大声を出して。言ってませんでしたかえ?」
「ふざけんな! 初、耳、だッ!!」
尼僧に化けた与一とそんな言葉を交わす俺を見て、中間男は「お知り合いですか?」と首を傾げ、
「いやいや、さすが円士郎様。こんなお美しい尼様とお知り合いとは、羨ましい」
などと、与一の女装に対してデレデレと鼻の下を伸ばしながらそんなことを言った。
俺は頬が引きつるのを感じて絶句した。
確かに一見、尼にしておくのがもったいなくなるような美女に見えるが──
……正体は男だし。
「てめえ、今日は何の用だ!」
俺はこの侠客を廊下に引っ張り出してヒソヒソと尋ねた。
「こんな格好で屋敷にまで上がり込みやがって……有り得ねーぞ!」
「あらあら。何って、結城家ほどの名家が呪いで困っているというから、親愛なる円士郎様のために御祓いに来てさしあげたんじゃありませんか」
「……てめえ、本気で俺を怒らせたいらしいな」
「ほほほ! いやなに──」
二代目鵺の男は鈴を転がすような声で笑って、つと真面目な顔になり、
「──一つ、円士郎様にご忠告しておくのを忘れていましてねえ」
と、言った。
「あら、嫌ですよそんな大声を出して。言ってませんでしたかえ?」
「ふざけんな! 初、耳、だッ!!」
尼僧に化けた与一とそんな言葉を交わす俺を見て、中間男は「お知り合いですか?」と首を傾げ、
「いやいや、さすが円士郎様。こんなお美しい尼様とお知り合いとは、羨ましい」
などと、与一の女装に対してデレデレと鼻の下を伸ばしながらそんなことを言った。
俺は頬が引きつるのを感じて絶句した。
確かに一見、尼にしておくのがもったいなくなるような美女に見えるが──
……正体は男だし。
「てめえ、今日は何の用だ!」
俺はこの侠客を廊下に引っ張り出してヒソヒソと尋ねた。
「こんな格好で屋敷にまで上がり込みやがって……有り得ねーぞ!」
「あらあら。何って、結城家ほどの名家が呪いで困っているというから、親愛なる円士郎様のために御祓いに来てさしあげたんじゃありませんか」
「……てめえ、本気で俺を怒らせたいらしいな」
「ほほほ! いやなに──」
二代目鵺の男は鈴を転がすような声で笑って、つと真面目な顔になり、
「──一つ、円士郎様にご忠告しておくのを忘れていましてねえ」
と、言った。



