「おつるぎ様もどうですか、たまには」

どうやら女物の髪飾りや帯留めを見て騒いでいたらしい女中たちは、そう言って私にも勧めてきて、

私は一瞬、円士郎を振り返った。

「でも、どうせ私なんか、こんなの似合わないし……」

昨日言われたことを思い出して、しょんぼり肩を落とすと、

「別に。俺は似合うと思うぜ」

円士郎はどこか慌てた様子でそんなことを言って、私はまたどきんとしてしまった。

「男の格好してたって、使えるだろ、こういうのは」

並べられたカンザシを指さしながら円士郎はぶっきらぼうにそう言った。

「そうですよ! ささ」

「円士郎様だってよく使ってらっしゃるんですから!」

「たまには円士郎様も良いことを仰るじゃないですか」

女中たちは待ちかまえていたように、私にカンザシや櫛をあてがって、こっちが似合うだのこれがかわいいだのと言い出して、

「てめえら、『たまには』は余計だ!」

円士郎が顔を赤くしてまた文句を言った。


私はきらきら銀色に光っている透かし細工のカンザシが気になって、手にとって眺めて

「綺麗……」

思わず呟いたら、


「俺が買ってやろうか」


円士郎がそう言った。