あれれ。
私、何だか変だよ……。

体が火照っているみたいで、なんだか熱っぽくて──


円士郎が首を傾げた。

「どうかしたか?」

私をしげしげと眺めて、円士郎は不思議そうな顔をした。

「なんか、今日のお前、変じゃねえか?」

「えっ……ええと……」

私は焦って、うつむいて、上目づかいにちらっと円士郎の顔を窺ったら、

円士郎の顔が赤くなって、ぷいと横を向いた。

「なんつうか……いつにも増してかわいいぞ」

えっ……ええ?


心臓が物凄い速さで鳴っているのを感じながら、私は膝元に目を落として──


何やら外が騒がしくなって、「なんだ?」と言って円士郎が障子を開けて庭を望む廊下に出ていった。

私はちょっと残念なような、ほっとしたような気分で、とことこと円士郎の背中を追いかけて、


「ああ、りつ殿の所によく来ている小間物屋か」


庭の一郭に集まっている女中たちの後ろから、そこに広げられた品物を覗き込んで円士郎が言った。

私たちに気づいた女中たちがハッとしたように静まって、

「これはおつるぎ様」

私のほうを見て愛想良く笑って、

「……と円士郎様」

「なんだその嫌そうな言い方はァ!」

一様に顔をしかめた使用人たちを見て円士郎が文句を言った。

「わあ、綺麗……」

私はムシロの上に敷かれた布に整然と並べられている櫛やカンザシを見て、思わず声を上げた。