恋口の切りかた

「なんにもなくなっちゃった……レンちゃん」


おれは、今もそばにいてくれるたった一人の友人に向かって手をのばした。

「レンちゃん」

「おう」

のばした手を、漣太郎が握ってくれた。


「おれにはもう、レンちゃんしかいなくなっちゃったよ……」


ぎゅっと、

強く
強く
つないだ手を握り返して、

漣太郎はおれが、夢うつつに何度も聞いた言葉をくり返した。


「何があっても、オレはおまえの友達だ。だから心配すんな」


真っ暗な闇の中に灯った、たった一つの光のように──


「おまえは絶対に、オレが助けてやる」


──力強いその言葉だけが、今のおれの救いだった。