恋口の切りかた

「木刀!」

「木刀?」

「レンちゃんからもらった木刀! おれ、どうしただろう」


一人目の刀を叩き落とした時には持っていた。

あの後、刀に持ちかえて──木刀は?
持ったままだったような気もするし、持っていなかった気もする。


「あの木刀があったおかげでおれ、助かったんだ。あの木刀のおかげで殺されずにすんだ──宝物なのに……探しに行かなきゃ──!」

「いいって!」

再び起き上がろうとするおれを、漣太郎は押さえつけた。

「いいよ。そのおかげでおまえが助かったんなら、それで十分だ。
木刀ならまた新しいのやるから──」

「でも……」


漣太郎の声が妙に優しいのに気がついて、彼の表情を見ておれはハッとなった。