恋口の切りかた

俺たちのやり取りの間中、地面に平伏したまま申し訳ございません申し訳ございませんと読経のように唱える志津摩を責める気にはなれなかった。

俺のせいだ。

俺が昨日、あんな場面を留玖に見られなければ──
俺が昨日、留玖にあんな態度をとらなければ──


俺が──留玖を追いつめた。


こんなことになるとは──


あどけない少女の笑顔が瞼の裏にちらついた。


「しっかりしろよ円士郎様。あんたが参ってちゃ、助けられるモンも助けられなくなるぜ?」

翡翠のような目玉が俺をじろりと睨んでそう言った。

「──ああ、わかってるよ」

力無く言いながら苦笑いする。

出会ってからこれまで──なんだかんだ言っても、この金髪緑眼の年上の男は、俺を甘やかすような言動はいっさいとらねェんだよなァ。

そこがまあ、俺がこいつを信頼している部分でもあるわけだが。


「優しいのか厳しいのかどっちだよ」と、そんな遊水を見て隼人が横から何やらツッコミを入れた。


俺は大きく息を吐いて、不安に押しつぶされそうな自分の感情を殺した。

「宗助」

「は。ここに」

何の気配も無かった俺の背後の部屋の中から声がして、隼人や帯刀がぎょっとした表情になった。

「拐かされた二人の居場所を突き止めろ」

庭のほうを向いたまま、振り返らず俺は静かに命じた。

「は」と、いつもと変わらぬ無機質な声音で忍が寄越してきた至極短い返答を聞きながら、

俺は自分自身に言い聞かせるように決意を口にした。



「こんな脅しには断じて屈服しねえ。そして留玖も絶対に助け出す」