恋口の切りかた

見ていた隼人が慌てた。

「おい、何もそこまでしなくても……」

「いや! 責任はとらせる。それが上役としての俺の務め。
そこに直れ志津摩、この場で俺が自ら手打ちに致す」


蒼白な顔で涙を流す志津摩に向かって、帯刀が刀を振り上げ──


「──やめろ!」


俺は押し殺した声で低く怒鳴った。


「ここで志津摩に責任とらせて、留玖が戻って来んのかよ」

「しかし、見過ごせるような失態ではない。これは──」

言いかけた帯刀が言葉を切り、俺の視線に気づいた様子で背後の庭を振り返った。

「ああ、どうも。夜分にお邪魔致しますよ」

その視線の先で、暗がりからひょっこり姿を現した遊水は、
土下座している志津摩と、刀を手にした帯刀とを眺めて、

「何の騒ぎですかねェこいつは」

と、とぼけた調子で言って肩をすくめた。