恋口の切りかた

「あれ……急に眠く……?」


隣で志津摩がそう呟いて、頭を振った。


「まさか──」


私はグルグルと回り始めた視界の中にある、空っぽになった湯飲みと皿を見た。

この中に何か……入っていた!?


この盲人が、私たちが食べ終えるまで待っていたのを思い出した。


「薬が効いてきましたねえ」と、私の想像が当たっていることを裏付けるかのように、蚕糸が笑うのが見えた。

あくまで穏やかに。


「ご心配なく。ただの眠り薬ですよ」


蚕糸のそんな声と同時に、バタリと隣で志津摩が倒れ込んだ。


私は咄嗟に、横に置いていた刀に手を伸ばそうとして──


「おっと」


──しかし、盲目とは思えない素早さで蚕糸がそれを取り上げた。


「刀を握り込んで、痛みで眠気を飛ばす気でしたか? ふふふ、やっぱりあなた、侮れない娘ですね」


目の前が霞む。
意識が遠ざかる。
姿勢を保っていられない。


私も志津摩と同じように前のめりに倒れ込んで、



気力を振り絞って、唇を噛み切った。



けれど、

襲ってきた猛烈な睡魔には、そんなことでは立ち向かえなくて──