恋口の切りかた

私の問いにも、白蚕糸は眉一つ動かさず、にこやかな笑みを絶やさなかった。

「はて? 盗賊? ヤミガラス? 何のことでしょう」

目が閉じられているせいもあって、とぼけているのか本気で何も知らないのか、私には判別がつかなかった。

「とぼけないで下さい!」

それでも、私は食い下がった。


あの廃寺で目玉のポロポロ落ちる狒狒の尼僧と話をした帰り道、円士郎は私に、

白蚕糸もひょっとすると盗賊闇鴉と何か関係がある人間かもしれない、そう考えていると語った。


これをハッキリさせたらきっと、円士郎の役に立てる。

私はそう思って──


「私からもお尋ねしたいのですがね、おつるぎ様」

盲目の三味線弾きはニコニコと微笑んだまま、問い返してきた。

「何ですか」

「この事件を調べているのはそこのお役人様や、結城の若様でしょう」

見えているかのように、私の隣に正座した志津摩にチラッと顔を向けて、蚕糸はそう言って、

「おつるぎ様には何の関係もないのではありませんかねえ? どうしてこの事件に首を突っ込もうとするのです?」

「関係あります! 私だって、エン──兄上と共にこの事件を調べている──いわば兄上の部下ですっ」

関係ない、などと言われて私は必死になってしまって、そんなことを口走った。


「そういうことだったのですか?」

と、横で志津摩が大きな目をますます大きく丸くした。


「若様の部下として、お調べに?」

「そうですっ」

「では無関係ではないと?」

「そうですっ」

「それは良かった」

「……はい?」

「つまり、おつるぎ様にもそれなりのお覚悟があるということ──ですね?」


蚕糸のそのセリフに、どういう意味だろうかと一瞬眉をひそめて、


「え……?」


私は畳に手をついた。


目の前がグラリと揺れた。