恋口の切りかた


 【剣】

口に入れたお団子を、私はお茶で流し込んだ。

「それで? お話と言うのは?」

向かいに座った蚕糸が尋ねた。


あの後、盲目の三味線弾きは、与一のほうを気にする素振りを見せて、話なら向かいにある芝居茶屋で聞くと言って、私と志津摩を鈴乃森座から誘い出した。


さすがに芝居の興行がない時にはお客もいない様子だったけれど、蚕糸が何かヒソヒソと耳打ちすると店の主人はお団子とお茶を用意してくれて、

今、私と志津摩は茶屋の二階にある座敷で、蚕糸と向かい合って座っていた。


普段は芝居の上客を相手に豪勢な料理やお酒を振る舞ったりする処だけれど、お団子も美味しかった。

蚕糸は私と志津摩がお団子を食べてお茶を飲み終えるのをじっと待ってくれて、それから口を開いた。

「また巷を騒がせている例の事件のことでしょうか」

まさに私が湯飲みを置いた時で、相変わらず目が見えているのではないかと思えるような、絶妙の瞬間だった。

「単刀直入にお聞きしますけれど」


私はその硬く閉じられた双眸を睨んで、



「あなたは、盗賊『闇鴉』の一味なのではないですか?」



円士郎たちが口にしていたその単語を、

何のためらいもなく──もしも、本当に相手が盗賊だったらどういうことになるのかを深く考えもせずに──

この盲目の男にぶつけてしまった。