恋口の切りかた

女形の与一には、普通の男の人とは違う色っぽさみたいなものがあって、

しかも、男の人にあんな風に触れられたのも初めてで、


私はドキドキと鳴っている動悸をなんとか静めようとした。


「ききき貴様、町人の分際で、結城家の御息女に何をするか……!」


何故か志津摩は私以上に動揺していて、与一に指を突きつけて文句を言って、

与一はうざったそうな顔になった。


「何もしてやしないだろ、うるさいね」

「何もだと!? か、斯様に軽々しく女人に触れるなど……」

「おや、女の肌に触れたこともないのかえ。うぶだねえ。
顔が赤くなってるよ、お若いお役人様」

「なっ……なな……」


こういうの、何て言うのかな。

まさに手玉に取られた状態だ。


やはり城下一の人気女形ともなれば、その……女性経験も豊富ということなのだろうか。

私に触れてきた与一は凄く自然で、
慣れている感じがして、


こういう会話になってしまったら、私や志津摩はいいように翻弄されるだけだった。

私は相変わらず全然男慣れしていないからこうなのだけれど、志津摩のほうもまるで私と同じみたいで、


うーん……何だか私と志津摩さんって似てる気がする。

私はそんなことを考えて、


「与一さん、その方たちは私に用があるのでしょう? 構いませんよ、お話を伺いましょう」


聞こえた声に振り返ると、

以前会った時と同じ愛想の良い笑顔で、盲目の三味線弾きが立っていた。