恋口の切りかた

「うーん、円士郎様があの白蚕糸という者にそのようにこだわってらっしゃったとは……」

志津摩は傘を傾けて櫓を見上げ、首を捻った。

「しかし、今さら我々が行ったところで、何か情報を聞き出せますかねえ」

いまいち弱気な志津摩に、

「何が何でも聞き出すんです!」

私はぎゅっと拳を握って言った。

「大丈夫。私にも前にはなかった情報がありますから」

何の策もなく乗り込もうというわけではなくて、私には一つ考えがあった。

志津摩は私を眺めて、何やら感心したようだった。

「女の身で、兄上のためにこのような行動をとるとは、おつるぎ様は本当に兄上思いなのですね」

言われて、


違うと思ってしまった。

私が円士郎の役に立ちたいと思うのは、「兄上思い」というのとは、違うと思ってしまった。



だったら、この気持ちは何なのか──



私は考えるのをやめて、志津摩と共に鈴乃森座の中に足を踏み入れた。