恋口の切りかた

「私と一緒に、今から二人で手柄を立てませんか?」

「ええっ? 今から……手柄をですか?」

「そうです」


円士郎がずっと、あの白蚕糸という盲目の三味線弾きのことを知りたがっていたのを思い出しながら、私は言った。


「志津摩さん、私とこれから鈴乃森座に行きましょう」


私も円士郎の役に立てば──

昨日あんなに怒らせてしまったけれど、きっと円士郎も許してくれると思った。


円士郎のために、役に立ちたい。

その一心で──


「でも、円士郎様や秋山様の指示を仰がずに勝手に行動するのは……」

志津摩はそう言って渋ったけれど、

「志津摩さんも、二人を驚かせてみたいって思いませんか? 二人の役に立ちたいんでしょう?
私はエンの役に立ちたいんです!」

私は何とか説得して、結局私の熱意に負けた様子で志津摩はお供しますと言ってくれて、



しばしの後、

私と志津摩の二人は、雨の中に佇む鈴乃森座の前に立っていた。