【剣】
「俺は、お前がそばにいてくれるだけでいいのに」
円士郎にそんなことを言われて、抱き寄せられて──
それは一瞬、斬り合いよりも何よりも、嫌なことを忘れさせてくれる気がしたけれど……
「どうして泣いてたんだ?」
隼人に訊かれたのと同じ質問を円士郎がしてきて、
「ヤキモチを焼いてくれたってことなんじゃねーのか?
留玖、お前、俺のこと──」
その先にある答えを知るのが怖くて、
「違うッ!!」
私は必死に否定した。
そんなの、認めてしまったら辛いだけだ。
認めては駄目だ。
心の中でそんな声が聞こえた気がした。
そうしたら、円士郎が、
「留玖、お前に悲しい思いをさせたんなら謝る。
お前が嫌なら、俺は他の女には指一本触れたりしねーよ。だから……」
そんなことを言って、
耳にした途端、
円士郎と鳥英の抱き合っている姿が脳裏に浮かんで、
この腕の温もりを知っているのは私だけじゃないんだ、と思った。
「やだっ! 放してよっ」
私は叫んで、
気がついたら円士郎を突き飛ばしてしまっていた。
円士郎は私のことを心配して、探してくれたのに。



