恋口の切りかた

刀丸はそれから俺の屋敷で一週間も熱を出して寝込んだが、幸い命に関わるようなことはなかった。

虹庵によると、刀丸を屋敷まで負ぶって運んだおかげで、俺の体温で体が温められて助かったのだそうだ。



彼を苦しめたのは、どちらかと言えば身体よりも精神的な痛手のほうだったようで──


昼夜を問わず、
おとう、おかあ、とうなされては
泣きさけびながら飛び起きる、

というようなことを何度もくり返した。



……無理もねえよな。

彼が心に負った傷は想像を絶する深いものだろう。

俺は村でのやり取りを思い出して、暗澹(あんたん)となる。