恋口の切りかた

「今のは──」

「他の人には黙ってて下さいよ」

隼人と自分の手元とを、何度も目で往復していると、隼人はそんな風に言って、困ったように笑った。

「こんな勝負で使ったって師匠にバレたら、破門にされちまいますよ俺」

口振りから察するに、開現流に伝わる、奥義か何かの剣だったのだろうか。

私は先程の光景をもう一度思い描いた。

「まさか、今の剣の正体って……」

思いついたことを私が唇に乗せると、隼人は目を丸くした。

「参ったな。『これ』の正体を一度見ただけで見極めるなんて……本当にアナタ何者ですか」

隼人は刀を握った私をしげしげと見て、「何よりも剣が好き……だから、なんですかね」と言って、


目を細めて表情を険しくした。


「これは……脅威ですね。
おつるぎ様と同じなら──蜃蛟の伝九郎相手にも──この剣が通じるのは一回だけ。それで仕留められなければ、二度目はないってこと……ですか」


隼人はいつになく真剣な表情になって、破門にされるかもしれなくても、手合わせしといて良かったですと言って私に頭を下げた。