恋口の切りかた

「うえっ?」

横から隼人のぎょっとしたような声が聞こえて、

「わあああ──!」

私はまた大声で叫んで円士郎に抱きついてしまった。


片目の落ちた尼僧は、にいい、と赤い口元を吊り上げて笑いを零し、

「おやおや、また落っこちてしまったかえ」

そんなことを呟きながら、本堂の床を転がる自分の目玉を白魚のような指でつまみ上げた。


有り得ないっ!

やっぱりお化けだよう──。


恐慌状態に陥る私に、円士郎は慌てず騒がず、落ち着き払った声で「よく見ろよ、留玖」と言った。


見たくない!

何なの──?


くすくす笑いながら、尼僧が落ちた目を再び自分の眼窩に戻した。


それを見て、円士郎は

「義眼だろ、それ」

と言った。