恋口の切りかた

蜃蛟の伝九郎についてはこれで正体が判明したわけだが、

白蚕糸について尋ねると、遊水は肩をすくめた。


「そいつについてはよくわからねえな。
盲目ってのは目立つ特徴だが、少なくとも俺の知ってる裏の人間の中には該当しそうな奴ァいないぜ」

もっとも──と、遊水は顎に手を当てて、

「目が見えない人間が見えるフリをするのは難しいが、その逆は可能だ。
その三味線弾き、実は『見えてる』ってこたァねェのかい」

「さァな」

俺は、鬼之介の仕込み刀に容易く気づいた三味線弾きの柔和な笑顔を思い浮かべた。

「目は閉じてやがったけどな。
それに、目が見えてても──音を頼りにしてたとしか思えねえことがいくつかあった」

俺は未だ立ち直れずにヘコんだままの隼人にも尋ねた。

「隼人、あんたはどんな印象を持った? アレは演技だと思うか?」

俺たちが白々しい返答で追い返された際、隼人も俺と志津摩と一緒に蚕糸には会っている。

「……演技には見えなかったよ」

隼人はまだドンヨリしている声で答えた。

「顔を別の方向に向けたままで、転びそうになった他の座員をとっさに支えてるのを見た。
あんなのは、目が見えてる人間の動作じゃねーだろ」

さすが、大した観察眼だなと俺は感心した。

隼人はそんな俺と遊水を交互に見て、「ああもう知らねー」と、

投げやりに、
どうでも良さそうに言った。