恋口の切りかた

「正気かよ! 見逃す気か!?」

そのまま小太刀を抜こうとする手を俺は押さえた。

「やめとけ」

「何故だ!?」

「理由は二つあるが、一つは──こいつも結構な使い手だぜ? 小太刀がいくら屋内戦に有利でも、二対一じゃ勝ち目ねーよ」

隼人は唖然とした顔を俺に向けた。

「味方するってのかよ……! もう一つの理由は何だ? こいつは──」

「俺の友達だからだ」

俺がキッパリ言い切ると、隼人はしばしパクパクと口を動かして、

諦めたように嘆息した。

「……そうかよ、上役の円士郎様のオトモダチじゃしようがねえな」

俺の下役殿はそう言って刀から手を離し──


「──って有り得ねーだろこのお坊ちゃんはァ!」


何やら叫びを上げて、がくりと崩れ落ちた。


「マジこいつ有り得ねー。ホントなんでこんな奴の下役になっちまったんだよ俺……」

隼人は頭を抱えてブツブツ言って、

「つうか、ここで知って見逃したってコトは俺も同罪じゃねーかよ!」

がばっと顔を上げ、恨めしげな目でこっちを睨んだ。


あ、ちょっと涙目になってやがる。


「そういうこったな」

俺はゲラゲラと笑った。

「これであんたも一蓮托生だ。悪ィな隼人」

「あ……有り得ねー」

隼人が再び頭を抱え、

遊水は楽しそうに、あっはっは!と腹を抱えていた。