恋口の切りかた

「おい!」

座ったまま平然と会話を続けている俺と遊水を見比べて、隼人が声を荒げた。

「ああ、別にいいだろ」

俺はあっけらかんと言った。

「昔の名ってことは、盗賊つっても昔の話なんだろ?」

「まァね」

遊水はおかしそうに首肯する。

「念のため聞くが、その『闇鴉』の一味だったとか言うんじゃねえだろうな」

俺が訊くと、「いいや」とこれには金髪緑眼の元盗賊は首を横に振った。


「残念ながら、そんな有名な大盗賊の一味じゃあねえ」


闇鴉ってのは大盗賊なのか。


「今は解散して影も形もない、しがない小さな白浪の一味さ」

「その割には、名が知れてたみてェじゃねーかよ」

俺は苦笑する。

「あばら寺の『動く死体』までご存じだったぜ」

「ああ──」

遊水は笑って、

「俺について知りてェんなら、そいつから聞きな」

と、言った。


「へえ、聞いていいのかよ」

「そろそろ話してもいいかと思ってたところだ。頃合いだろう」

「おい……!」

言葉を失っている様子だった隼人が掠れた声を出して、

「な……何言ってんだ!」

怒鳴った。