恋口の切りかた

俺は、裏の世界の千々とした事情を克明詳細に語ってみせた男をマジマジと見つめた。


「遊水、あんたいったい──」


あの荒れ寺の「動く死体」の尼僧は、彼を「仙太」と呼んだ。


「『仙太』という名は、何だ?」


洗練された手つきで酒を注いでいた遊水は、不意に動きを止め、


「そいつはまた、懐かしい名だな」


クククッと喉で笑って──

店の薄暗い行灯の明かりの中で、ぞくりとする視線を俺に向けた。





「盗賊としての俺の名だ」





盗賊──。