恋口の切りかた

「一味を抜けた男が死んで、そいつがこの町で興した一家のうち一つが反乱を起こし、そこにその盗賊の一味が再び絡んで来てる、ってことか……」

ふむ? 俺は情報を整理する。

「反乱を起こすに当たって、白輝血の兵五郎が助勢を頼んだってことか?」

「それだけならいいんだがな」

俺の言葉に対し、遊水は意味深に呟いた。

「さっき言いかけた話になるんだが、一つ──気になってね」


遊水は杯を口元に運びながら、上目遣いに俺を見据えた。


「この『闇鴉』ってェ一味だが、実は鵺の大親分以外にもこの町とは因縁がある」


遊水は白い指を俺に突きつけ、

「他ならぬ──結城家とだよ、エンシロウサマ」


と、言った。


「どういうことだ!?」

初めて聞く話に、俺は思わず腰を浮かす。

「まあ落ち着いてようくお聞きなせェ。
この『闇鴉』。元々は上方を荒らし回っていたが、今から十年ほど前にこの辺りにも手を広げてきやがってね、そこで一度壊滅の危機に瀕してる。
で、一味を壊滅寸前まで追い込んだのが──」

遊水は飲み干した杯をコトリと盆の上に置いた。


「円士郎様のお父上、結城晴蔵様ってワケだ」


親父かよっ!?


「そン時は生き残った連中が上方に逃れて全滅には至らなかったようだが──連中とこの町、いや結城家との因縁はこれだけじゃァなくッてね」

目を剥いている俺に、遊水は更に告げた。


「おつるぎ様だよ」


え?


「おつるぎ様の村を襲って、彼女に撫で斬りにされた盗賊については何かご存じで?」

「それこそその蜃蛟の伝九郎が、『紅傘』の一味とか言ってやがったが……」

遊水は頷き、


「おつるぎ様に殺された『紅傘』の頭目、独立する前は『傘化け』の定衛門って言って──こいつがまた、『闇鴉』の一味ときてやがるのさ」


俺は絶句した。

因縁でやしょ、と金髪の男は皮肉っぽい笑みを浮かべる。


「気をつけたほうがいい。『闇鴉』の恨みはしつこいぜ」