人込みの
生き馬の目を
抜くような


慌ただしい
新宿の街並みを
テンション高く


駅に向かう時に
悲劇の幕が上がった


前を歩く男性は
俺の嫌いな
39歳の俺の上司


そんな事は
時にある偶然で
何とも無い事だが


問題はその左を
歩く女性が
俺の彼女だった


しばらく後を
着けると
信じられない事に


恋人同士のように
手を繋いで
歩き始めた


そして
聞いてしまった


上司が俺の彼女に
今日はどこの
ホテルがイイ?


そう気持ちの悪い声で
つぶやく声が
俺の耳に
留まってしまった


俺はその場で
フリーズした
二人と俺の距離は


どんどん離れていく


そんな思い
出したく無い
辛く苦しい


過去が俺の
記憶の奥深くで
封印されていた


その封印が
今回の夢のなかで
出てきてしまった


嫌な記憶は
忘れようとして
本当に忘れていた


それなのに
思い出してしまった
この事件が


俺を狂わせていた
病原菌なのだろう
夢で思い出したよ


それからの俺は
女性がすべて
その子のような


裏切りを簡単に
するような
気がしてしまい


深くのめり
込めなくなった