織田家は、尾張の中で急速に力をつけてきた。

人の世に再び降りて後、この三月、織田の噂を聞かぬ日はないほどだ。

この地が織田の領地と接していることも一因ではあろうが、それ以上に、織田家は不気味なほどの勢いで尾張をその勢力下におさめようとしている。

時代に魅入られる人間というものは、必ずいるものだ。

こと、乱世においては、その人物は傑出した頭角を現す。