―3月
温かい風が優しく頬をくすぐって、程よく花をつけた桜の木を揺らす。
今日、彰は中学校を卒業する。
進路はサッカーで有名な高校に推薦で合格。
プロも輩出している学校だ。
決まってからは、電車で1時間位の学校の練習場に行って練習に加わってる。
『コーチは厳しいけど、すげぇ為になる。』
そう嬉しそうに言ってた。
その彰の高校は全寮制で、春からは殆ど会えなくなる。
だから今日
もう一度彰に気持ちを伝えておきたい。
私にはそんな資格無いって思ったけど、彰が居なくなる前に、前みたいな失敗を繰り返さない為に
コレ以上後悔しないように
彰としっかり伝えておきたい。
卒業式が終わり、一足早く校門で彰が来るのを待つ。
ドキドキする…。
好きな人を待ってる時って、こんなにドキドキするんだ。
門の少し前で、彰がサッカー部の後輩に揉みくちゃにされてるのが見えた。
面倒見がよくて、みんなに慕われていた彰
…女の子にも囲まれてる。
でも、今日はムカつかない。こんなににも、みんなに好かれてる彰が
あの笑顔が私は好きだから。