電車の中はそこそこ混んでる。

私達は入ってすぐのドアにもたれ掛かって立ってる。


電車の速度が上がると町並が流出す。


どんどんすぎて行く景色と、近付く競技場の駅。



「試合終ってたら意味ないね…。」



私がポツリと言うと、友來は呆れて言う。



「あのねぇ…。
それなら急いで行かないよぉ。
午前中のリーグ戦はギリ間に合わないかもだけど…。
でも決勝とかは余裕しょ?

残ってない訳ないし。」



そう話ながら友來は鞄から鏡を取り出して、髪を直してる。



残って無い訳ないけど…



微妙な時間に行って色んな人に合わないかな?


ちょっと不安になる…。



でも、見たい気持ちが大きいからこうして向かってるんだよね。



サッカーをしてる


ゴールを守ってる彰を見るのは


凄く好きだから



そんな彰の最後の試合


見なきゃ後悔するもんね。